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本日は、日本で話題となっている政府による給与増額政策についてのお話です。
アンテナがそれほど高くない海外駐在員のため若干出遅れ感は否めませんが、ここでは給与増額政策について、海外駐在員であり、プチ アーリーリタイアを目指している異端児リーマンの目線で、簡単に考察していきたいと思います。
①政府による賃金アップ税制案
12月6日岸田総理の所信表明演説で、従業員の賃上げを意とし企業の税額控除率を大幅に引き上げることを発表した。
日本政府は案として、法人税から引き去る控除率を、企業の賃上げの取り組み状況に応じて、現在の15%から、大企業で最大30%、中小企業で最大40%に引き上げる方向で調整を進めているとのことである。
具体的に、大企業は従業員の給与が前年度より4%以上増額させた場合、控除率は25%となる。更に、従業員の教育訓練費を、前年度より20%以上増額させた場合には、控除率をさらに5%拡大し、最大30%となる案のようだ。
中小企業は、給与が2.5%以上増えた場合、控除率を30%とし、従業員の教育訓練費を10%以上増額した場合には、控除率は最大40%となる予定だ。
※ボーナスなど一時金の増額での可。
インフレを推進しようとしている中で、非常にありがたい制度と感じる一方で、いくつかの問題も見えてくる。
❏法人税を納めていない赤字企業は減税になりえない
❏ボーナスなどの一時金では、短期的な限定賃上げにしかならない
前者については、現在も6割の企業が赤字とのことで、これらの企業は恩恵を受けることができない。更に、利益が出ていても薄利の場合もほぼ減税の影響がないことになる。
しかしこの点については、政府も考慮しているようで、中小企業を対象に設備投資額の50%を補助している制度を見直し、赤字の中小企業が従業員の給与を前年度比で1.5%以上増やすことを条件に、補助率を3分の2に引き上げる案も検討されているようだ。
一方で、後者については、深刻な問題と言わざるを得ない。日本式企業では、月例賃金について一度上げると下げにくいという意識が強い。ただ、ボーナスなどの一時金は業績により増減するものという考えを労使とも共有できているため、比較的自由度があると言える。つまり、ボーナスなどの一時金での賃上げは、恒久的な賃上げには繋がりにくい。
月例賃金が上がるということは、安定的な給与増と考えることができ、消費に繋がる部分が大きいが、ボーナスなどの一時金の場合は消費に繋がるのは限定的(≒貯蓄に回る)という意見も見たことがあるが、確かに一度上げると下げにくい生活水準という点からもこの傾向にも頷ける。
色々と記載をしたが、
・(最良でなくても)やらないよりやるほうが良い
・賃上げ+インフレの政策の意欲だけは伝わった
と、この取り組み自体は、一歩踏み出す意味ではポジティブに感じられる政策であったと言えよう。
(コロナに絡んだお粗末な一時金バラマキ政策や、選挙対策としての高齢者贔屓の政策含め、基本的に政府や政治屋への期待や関心は低いままであることは申し添える。)
②海外駐在員異端児リーマンの賃上げ政策の受け取り方
海外で駐在生活をしている異端児リーマンも、この賃上げは日本勤務者と同じ恩恵を受けることができる。月例賃金であっても、ボーナスであっても駐在員もこの増額分は上乗せされるからだ。
細かな話をすると、会社によっては月例賃金のアップの方が海外駐在員の手当が上がることになる。それは、基本給の○○%というような海外赴任手当があるからだ。
一方のボーナスは、私の属する会社含め多くの企業では、日本と変わらない手取り分が支給されるため、日本での賃上げ分=手取りのアップ分としかならない。
いずれにしても、賃上げは将来への希望である。
※以前の記事で上がらない日本の給与の記事を書いたが、賃上げは、景気の刺激、そしてこの30年でことごとく周辺国においていかれている状況の打破の一歩目となるかもしれない。
↓以前の記事「30年上がっていない日本の給与」
hereticsalaryman.hatenablog.com
一方で、海外駐在員ならではの悩みもある。
非居住者となる海外駐在員は、原則日本での株式投資ができないことは、これまでに何度も紹介してきた。
海外駐在員である異端児リーマンは自社株の持株会制度などの一部を除き、現在はせっせと現金の預貯金を増やしている状態である。
つまり、ポートフォリオ的にインフレにはめっぽう弱いと言わざるを得ない。仮に3%インフレが実現した場合、単純に預貯金保有分は3%価値が減ることになる。
以前の記事で、インフレ時は株式や不動産は連動して価格が上がるケースが多い点を紹介したが、自社株の比率は預貯金に比べると圧倒的に低いため、現在の割合ではカバーしきれない。また、持ち家も賃貸に出していても3%ほどのインフレであれば、賃料反映は難しいという悩ましい状況なのである。
とはいえ、このまま低空飛行の経済では国の借金問題含め、泥沼としか言いようがないため、なんとか少しでも浮上するきっかけとなってもらいたいものである。
▼Success is doing, not wishing.▼
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