異端児リーマンの記録

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海外駐在4ヶ国目、駐在員継続によるプチ アーリーリタイアを夢見る40代中年奮闘記

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【早退関連114】年金におけるマクロ経済スライドの影響力

お越しいただきありがとうございます。

 

本日は、年金における「マクロ経済スライド」についての話題となります。

 

年金の支給額決定には、様々な要素が組み入れられているのですが、ここからはその要素の1つでもあるマクロ経済スライドを掘り下げていきたいと思います。

 

まず、マクロ経済スライドという考え方に触れ、実際に導入された事例を紹介した上で、私のプチ アーリーリタイア企画での考慮点について紹介していきたいと思います。

 

 

①そもそもマクロ経済スライドとは

マクロ経済スライドは、2004年の年金制度改正で導入されたもので、賃金や物価の改定率を調整して緩やかに年金の給付水準を調整する仕組みである。(日本年金機構より一部引用)

 

言い換えると、公的年金の給付水準を抑える(自動的に調整する)ための仕組みと言えよう。

それ以前の年金制度では、賃金や物価による改定率により、年金支給額が決定される仕組みとされてきていたが、このマクロ経済スライド導入後は、現役の被保険者の減少と平均余命の伸びに応じて算出した「スライド調整率」をその改定率から差し引くことによって、年金の給付水準を調整するものとなる。

つまり実際の賃金や物価の上昇率がそのまま年金に反映されるのではなく、その上昇率を抑えた運用をしていくための制度と言えよう。

※因みにこの制度は、適用すると年金額自体が現状比で下がってしまうケースでは適用しないとされている。

 

次の項目で詳しく触れるが、例えば賃金や物価の上昇率が2.5%だとすると、この制度導入前はそのまま2.5%が年金支給額として付加される形となるのだが、2004年以降はこの数値に、スライド調整率を加味することになり、こちらも例えば0.6%だとした場合、実際の年金の受給額は、2.5%-0.6%=1.9%の上昇に留まるということになる。

日本の年金制度は、「今の若い世代」が「今の高齢世代」の年金原資を捻出する、賦課方式というなんとも理不尽な形態をとっている。つまり、もし前述の改定率2.5%をそのまま年金支給額として付加した場合、高齢者世代が多すぎる超高齢化社会の日本では、若い世代(年金を支払っている世代)の負担があまりに大きすぎることになるため、このマクロ経済スライドという名の上昇率を抑えるための施策を導入した形なのだ。

 

因みに、2018年からは、キャリーオーバー制度というものが新たに導入されており、年金の名目額はこれにより下げないという従来の仕組みは踏襲しながらも、支給額がマイナスとなってしまうことにより調整しきれなかったスライド調整率については、翌年度以降に持ち越せることになっている。

 

※スライド調整率 = 公的年金被保険者数の変動率(2~4年度前の平均)×平均余命の伸び率 (日本年金機構より一部引用)

 

 

 

マクロ経済スライドの実施事例

次にこのマクロ経済スライドのこれまでの実施事例を見ていこう。昨年までの実績でいうと、2004年以降では2015年、2019年、2020年、2023年に実施されている。

 

では、2023年の老齢基礎年金での実例を見てみよう。

 

◆2022年度の満額支給額:

777,800円

 

◆2023年度の満額支給額:

795,000円(67歳以下)=2.2%UP

792,600円(68歳以上)=1.9%UP

 

<前提条件>

・名目手取り賃金変動率:2.8%

・物価変動率:2.5%

マクロ経済スライドによるスライド調整率:0.3%

・前年度までのキャリーオーバー分:0.3%

 

<計算方法>

→67歳以下の年金額改定率=2.8%0.3%0.3%2.2%UP

→68歳以上の年金額改定率=2.5%0.3%0.3%1.9%UP

 

※67歳以下は名目手取り賃金変動率を、そして68歳以上は物価変動率をそれぞれ基準としている。

 

つまり、本来賃金や物価の上昇に連動して2.8%ないし2.5%の年金改定が行われるべきところを、若者世代への配慮とも言うべきマクロ経済スライドにより、その上昇率を2.2%、1.9%へ抑えられたということになる。

 

 

 

③プチ アーリーリタイア企画におけるマクロ経済スライドへの考慮

 

最後に、私の定年前の数年を早退し、第二の人生をフライング的に始める、プチ アーリーリタイア企画において、この年金のマクロ経済スライドへの考慮についてまとめてみる。

 

この点の本質を簡単に記載すると、物価が上昇してる局面で、年金支給額が物価の上昇に追いついていないという問題であり、要は年金の目減り(仮に支給金額が上昇していても、その価値が目減りしていること)に対する対策について考慮でいているかどうかということになる。

 

私自身、年金については、以下の2点での備えを想定している。

□支給開始年齢後ろ倒しの想定 =70歳

□支給額の減額想定 =現在の見込み額の80%程度(適宜見直し中)

 

支給開始年齢の想定については、10年前の想定時にはかなり余裕があるとも思えていた70歳というのが、現時点ではほぼ現実的でリスク対応想定と呼べなくなってきている。実際に、私の年金受給開始はまだ20数年先であるため、ライフプランシート上で、支給開始年齢を75歳想定とするべきかを検討している状況にある。加えて、このマクロ経済スライドの話題でも触れてきた年金の「実質的な目減り」への対応についても、見込み支給額のどれくらいと想定するべきか、リタイア実現までの約10年で、見極めていかねばならない。

 

引き続き、早退実現へ向けた「老活」を積極的に進めていきたい。

 

 

 

 

 

 

 

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