異端児リーマンの記録

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海外駐在4ヶ国目、駐在員継続によるプチ アーリーリタイアを夢見る40代中年奮闘記

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【早退関連95】年金はいつからもらうのがお得なのか?

お越しいただきありがとうございます。


本日は、公的年金をいつからもらうのがお得なのかという話題となります。


少し前になりますが、2022年4月に制度改正があり、それまで年金受給開始年齢の幅が60歳~70歳となっていたものが、60歳~75歳まで選べるようになりました。高齢となっても働き続ける人の選択肢を広げるための施策とも言われており、支給開始年齢を後ろ倒しすれば、その分毎月の支給額が増える設定となっております。

 

ここからは、まず日本の公的年金の仕組みなどについて簡単に纏めた上で、いつからもらうのがお得なのか?という点をいくつかのケースに分けて比較していきたいと思います。

 


公的年金受給の仕組み


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まず年金そのものについてさらりとだけ触れるが、年金には法律により加入義務がある公的年金と、企業や個人が任意で加入する私的年金の2種類がある。

更に細分化すると、公的年金国民年金厚生年金に分けられ、もう一方の私的年金企業年金個人年金という区分ができる。

 

三階(以上)部分: 企業年金 / 個人年金
二階部分:          厚生年金   ※会社員、公務員等
一階部分:          国民年金 (=基礎年金)

 

※本日は公的年金についての話題のため、私的年金の記載は割愛する。

 

公的年金の深掘り:

国民年金とは、日本に住む20歳以上60歳未満の人が原則全員加入する年金であり、支給時には老齢基礎年金とも呼ばれているように、日本に住む万人のための年金のベースとなる部分(一階部分)である。

厚生年金とは、国民年金に上乗せされるもので年金の二階部分とも言われており、厚生年金保険の適用を受ける事業所や団体に勤務する、70歳未満の会社員や公務員などが加入する追加的な年金である。

 

次に、公的年金受給の仕組みについて纏めていく。
2023年の現時点、公的年金(国民年金・厚生年金)の受給開始年齢は65歳と定められている。
※因みに、厚生年金には昭和36年4月1日以前に生まれた男性、昭和41年4月1日以前に生まれた女性は、その生まれた時期により(60歳~64歳から)65歳までに追加して受け取れる特別老齢厚生年金という制度が移行措置的に用意されているそうだ。

この公的年金の受給開始時期は受給対象者が希望すれば、60歳~75歳の間で、月単位で自由に設定することができる。早くもらえば(=繰り上げ受給)その分受給できる年額が減り、遅くもらえば(=繰り下げ受給)年額が増えるという制度だ。

 

繰り上げ受給:
→1ヶ月早める毎に0.4%ずつ支給額が減る
※昭和37年4月1日以前生まれは0.5%ずつ減る形となる

 

繰り下げ受給:
→1ヶ月遅らせる毎に0.7%ずつ支給額が増える
※昭和27年4月1日以前生まれは70歳が繰り下げの上限となる

 

例えば、現時点で標準となる65歳受給開始時の支給額を100%とした場合、受給開始年齢を60歳 まで繰り上げた場合の支給額は76%となる。逆に70歳まで繰り下げると支給額は142%となり、上限となる75歳まで繰り下げると支給額は184%にまで上がることになる。そしてこの支給額は他界するまで変わらない。

 

因みに、繰り上げの場合は、年間受給額が減る以外にもいくつかの注意点があるので一部触れておく。

  • 繰り上げ受給は国民年金と厚生年金を同時に実施する必要あり。(繰り下げ受給の場合は、どちらか一方の選択が可能。)
  • 年金を繰り上げ受給すると、遺族年金や障害年金は繰り上げた期間分は請求できなくなる。


実際にどれくらいの人が繰り上げ、繰り下げの制度を利用しているのかについて調べてみたが、現状繰り上げ受給者が約17%、繰り下げ受給者が約3%とのことで、大多数と言える8割の人は65歳の標準受給とのことであった。

 


②いつからもらうのがお得なのか?の考察


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ではここからは、いつから受給するのがお得なのかという点について確認していきたい。
これは、いつ他界するのか?ということが予見できない限り正しい答えはない考察ではあるのだが、例えば60歳、65歳(標準)、70歳、75歳夫々の受給開始年齢ならいつまで生きれば得をするのかという評価は可能である。
(ここでは税金と社会保険費用については除外し、単純な受給額比較=額面による比較を実施することにしている。)

 

CASE1
60歳で繰り上げ受給をした場合、80歳10か月で標準である65歳支給と累計受給額が並ぶ(追いつかれる)ことになる。
つまり80歳10か月前に他界した場合は、繰り上げ受給した方が総受給額としてはお得だということになる。

 

CASE2
70歳で繰り下げ受給をした場合、81歳11か月で標準である65歳受給と累計支給額が並ぶ(追いつく)ことになる。
即ち81歳11か月より長生きする場合は、繰り下げ受給をした方が総受給額がお得になる。

 

CASE3
75歳で繰り下げ受給をした場合、86歳11か月で標準である65歳受給と累計支給額が並ぶ(追いつく)ことになる。
この場合、86歳11か月より長生きする場合は、繰り下げ受給をした方が総受給額がお得になる。

 

当然ではあるが、繰り上げ、繰り下げともお得の度合いについても差が生まれる。例えば75歳での繰り下げ受給の場合、86歳11か月以降に長生きできた分のお得度(差額/年)は大きくなる。

 

次に、客観的情報として日本人がいつまで生きていられるのかという点について、厚生労働省発表のデータを引用すると、2021年の日本人の平均寿命は男性81.47歳女性87.57歳とのことであった。

 

上記のCASE1やCASE2のデータを見てもわかるように、年金の制度設計として男性の平均寿命近辺を繰り上げや繰り下げ受給(±5歳のレンジ)の損益分岐点として設定していることが見てとれる。

 

冒頭に記載したが、自分がいつ死ぬかはわからない。よって繰り上げ、繰り下げの判断もある意味ギャンブルといえるのかもしれない。ただ確率論的に言えることは、「女性の場合はその平均寿命の高さから、繰り下げ受給をした方が額面総支給額では得をする可能性が高い」ということだ。


因みに上記70歳、75歳での繰り下げ受給比較の場合、2021年の女性の平均寿命となる87.57歳で他界した場合は、70歳での受給開始の方が額面での総支給額は更にお得となるようだ。

 

一方で、これはあくまで現時点での制度である点を忘れてはならない。現在40代中盤の私が年金を貰う年代となった時、このままの制度が続いているとは考えにくい。


実際に私のプチ アーリーリタイア企画においても、公的年金

  • 70歳支給が標準
  • 年金支給額の減額(70%)

として設定している。


この企画の立案初期段階でもあった約10年前は、上記の年金受給設定はやや悲観的すぎると考えていたこともあったのであるが、今見てみるとちょうど良い位の設定に思えてしまう。つまりこの公的年金制度は、今から10年後には更に厳しい設定にしなければならない可能性を含んでいるとも言えよう。

 

少し横道に逸れたが、今後も年金に繰り上げ/繰り下げ制度が残る場合で、且つ平均寿命の男女差が依然大きい場合、十分に年金以外の資産が準備できている前提(=万が一、私が早期他界となっても生きていくには困らない資産が伴侶に残る形)であれば、確率論によるお得度判断にて、

  • 私自身は標準年齢での受給 ※厚生年金+国民年金
  • 伴侶分は繰り下げ受給         ※国民年金

という形をとるのが良いのではないかと現時点では考えている。(但し、税金面と社会保険面はその時点での最新の検証が必要。)

 

色々と記載してきたが、今後も改悪が進む可能性の高い年金制度に過度な依存や一喜一憂をしないで済むためにも、早退の有無に関わらずしっかりとした資産形成を進めていかねばならない。

 

 

 

 

 

 


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