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・株価を狙う(=キャピタルゲイン)
・配当金を狙う(=インカムゲイン)
の2つを目的とするケースに加えて、
・株主優待を狙う
という、いわば第三の目的があるケースも少なくありません。
海外駐在員である異端児リーマンの場合は、海外にいるが故にこの株主優待の受け取りが困難であるケースも多く、現時点での資産形成のための投資においては、加点要素が少ないというのが実情です。
一方で、「株主優待生活」を目指している方など、この株主優待があるから株を購入しているという日本在住の個人投資家も多くいらっしゃるのもまた事実です。
ここでは株主優待そのものについて、更に株主優待を導入する企業側のメリットや投資家側のメリットなどについて見ていきたいと思います。
①株主優待について
株主優待とは、企業側が一定数以上の株を購入した投資家へ優待品を送ることを指す。略して株優などと表現されることもある。
設定した権利確定日に必要数を保有していた株主(株式の受け渡し完了済みの株主)に対して直接企業側より送付される。
株主優待の始まりは、明治時代の鉄道会社による無賃乗車券の配布と言われているが、その起源、つまり株主優待が始まるきっかけとしては株主総会での手土産の名残りという説が有力であった。
それから、株価対策として徐々に株主優待制度が広がってきており、2022年には上場企業の約4割が導入しているとのことだ。
優待内容も自社製品やサービスに留まらず、商品券やカタログギフト、図書カードやQUOカード、時に寄付などと 多岐にわたっている。さらに、長期保有者には追加の特典を用意したりと各社趣向を凝らした株主優待を用意しているケースもある。
このような多種多様の株主優待に対し、ランキング形式で人気のある株を特集したりしているサイトも目立つ。アンケートや優待率など様々な尺度であったが、以下いくつかの会社の優待例を抜粋する。
ランキング例-1
1位 オリックス
→カタログギフト+株主カード(自社グループサービスを割引利用できる)
2位 イオン
→株主優待カード(全国のイオン、マックスバリュー店舗にて保有数に応じ3〜7%返金など 更に長期保有者にはイオンギフトカードも追加贈呈)
3位 日本たばこ産業
→自社グループ商品または災害復興支援寄付(2,500円〜13,500円相当)
出典:知って得する株主優待(2022版)
※アンケート形式
ランキング例-2
1位 東海東京フィナンシャルグループ
→株主優待カタログギフト、オリジナルクオカード
2位 Casa
→クオカード
3位 楽天グループ
出典:みんかぶ(みんなの株式)2022年8月時点
意外な盲点でもあるが、株主優待も実は課税対象である。こちらは雑所得の扱いとなり、サラリーマンの場合は、雑所得の合計が年間20万円を超える場合は確定申告が必要となる。(2022年現在) 通常の雑所得は経費分を減額できるが、株主優待には経費はかからないため丸々が対象雑所得となるようだ。
実際に優待品の金銭価値が不明な場合も多く、その場合は都度税理士へ相談するべし!という内容の記載もあった。
また、所得税以外にも金額によって住民税の対象となることもあるようである。更に優待品を転売し追加で利益が出たようなケースでは、この利益分は譲渡所得となり控除額を超えた分は更に税金が発生する。
うっかり確定申告が漏れていたということだけは避けたい。
因みに配当金は支払い時に源泉徴収されるため、証券口座で特定口座を選択した上で、株の売買による損失などの損益通算(利益から赤字分を引いた上での個別納税処理)などを行わないケースでは、原則確定申告は不要である。
(給与所得と合算する総合課税も選択肢から除外している。)
②企業側における株主優待のメリット
あまりこれまでにじっくり考えたことはなかったが、株主優待を導入する企業側にも当然メリットがある。以下、その一例を挙げると:
🔳優待目的の新たな購買層獲得(個人投資家の増加=株主数の増加、企業買収のリスク低減)
🔳コストが安い(株主は優待利回りを優待品最終製品価格で捉え、企業は優待品のコスト+配送料等で運用できる =利益分が企業にとって割安であるケースが多い)
🔳自社製品、サービスの宣伝効果(自社製品配布やサービス割引等の場合)
などが挙げられる。
株価の安定や、株主数の増加だけでなく、自社製品やサービスによる優待により、コスパ良く株主を自社の顧客にしてしまうこともできるのである。
確かに、配当金としてお金を株主へ還元して終わり!という方より手間はかかるが、自社製品やサービスによる優待の場合は、遥かに自社のためになりそうだ。ただこれは、その優待品の対象が株主にとって魅力的であるかどうかというポイントにも依存しそうだ。
例えば、鉄鋼業の企業が自社の鉄を株主に詰め合わせて送付しても株主にはあまり喜ばれないであろう。
このような原料や中間素材を扱ったり、はたまた商社、金融など、直接最終消費者(=株主)に自社製品やサービスが響きにくい事業者の場合は、優待品はカタログギフトや金券、クオカードなどになるケースも多い。その場合は、株主=顧客化という効果は見込めない。
③投資家側における株主優待のメリット
一方の投資家側のメリットについては言わずもがなではあるが、
🔳優待利回りによるお得感(配当金以外にもらえるオマケ感)
🔳受け取りの簡便さ(手続きは不要、勝手に送られてくる)
🔳現金で購入できない価値(限定商品やサービスの享受)
などである。
こちらはあまり意外性もなく、すんなり理解できるポイントであろう。
④さいごに
重複するが、海外駐在員にとって株主優待はそのメリットを直接教授できないケースも多い。
私が保有している塩漬け銘柄にも優待銘柄があるが、現在は実家を送付先にしており、実家にちょっとしたギフトとしてプレゼントする形となっている。ただ、優待目的ではない株式投資であるため、両親からしても全く欲しくないものであるケースもあり、大手を振って喜ばれるという形でもない。
そして何より心配なのが、株価自体に株主優待プレミアが付加されており、本当に良い会社であったとしても、配当率だけで考えた場合に適正株価以上(低配当株)となっているケースもあることだ。
つまり、純然たる配当金のみに魅力を感じる企業の選択肢が狭まっているとも言えよう。
とはいえ株主優待は、海外から本帰国した後、生活ベースが日本となってからは、物によっては確かに魅力的と感じる部分も出てこよう。ここは人それぞれの考え方になる部分なのかもしれないが、基本的に異端児リーマンのプチ アーリーリタイア企画は、配当金(お金)を狙っているものであるため、あくまでも株主優待は「副産物」という位置付けである。
▼Success is doing, not wishing.▼
本日もありがとうございました。