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本日は、都心部のマンション価格の高騰についてのまとめとなります。
以前の記事で「新築マンション価格の過去最高値更新という不思議」という話題を取り上げました。こちらは2021年10月18日に不動産経済研究所が、2021年上半期(4月〜9月)の首都圏における新築マンション1戸あたりの平均価格が、前年同期比+10.1%の6,702万円となり、上半期データとして過去最高額となったことに触れた記事だったのですが、なんとその後もマンション価格の高騰は続いているようで、同組織により2023年4月に発表された2022年度の首都圏での新築マンションの平均価格はなんと6,907万円に上昇したとのことです。ただ、さすがに販売戸数は前年比で減少しているようです。
ここでは都心部におけるマンション価格高騰関連の情報を纏めた上で、アーリーリタイアを目指す人にとっての現時点での持ち家(新築マンション)の選択肢という視点で改めて考察していきたいと思います。
①マンション価格高騰関連の最新データ
まずは公表されているマンション販売関連のデータを並べてみる。
出典: 不動産経済研究所
a)2022年度データ
▫️東京23区新築マンション平均価格 9,899万円 (前年比17.2%増)
▫️首都圏新築マンション平均価格 6,907万円(前年比8.6%増)
※首都圏= 東京、神奈川、埼玉、千葉
▫️神奈川県新築マンション平均価格 5,456万円(前年比4.7%増)
▫️埼玉県新築マンション平均価格 5,135万円(前年比4.2%増)
▫️千葉県新築マンション平均価格 4,529万円(前年比3.3%増)
▫️東京23区新築マンション販売戸数 10,692戸(前年比18.8%減)
▫️首都圏新築マンション販売戸数 28,632戸(前年比12.9%減)
b)2023年3月(単月)データ
▫️東京23区新築マンション平均価格 2億1,750万円(前年比2.7倍)
▫️首都圏新築マンション平均価格 1億4,360万円(前年比2.2倍)
このインターネット上の記事を目にした際、あまりに信じられなくて、思わず同様のネット記事を探して確認してしまったことを鮮明に記憶している。
2022年度の東京23区のマンション平均価格がほぼ1億円である。私が同区内でマンションを購入した2011年は同データによると平均価格が5,500万円にも届かないものであり、倍とまではいかないが急激にに高騰していることが見てとれる。
2023年3月単体の東京23区のデータに至っては2億円越えとなっており、もはや異次元のものなのではないかと感じてしまうほどだ。
一応、この2億円越えにはからくりがあるようで、たまたま23区内で超高級物件の供給が続いたからとのことである。一例として挙がっていた港区三田のマンションは最低販売価格が2億3,000万円台〜とのことであった。そしてこのマンションの販売が好調らしい。
この販売価格の高騰の要因は、土地価格の上昇もさることながら建築資材の高騰のインパクトも大きいようだ。
日本経済新聞のWeb記事によると、経済調査会なる組織のデータとして、東京都の建築資材価格指数が2年前と比べて約4割上昇しているらしい。
次に販売戸数についてであるが、こちらは減少傾向が顕著であった。いくら低金利であるからといっても、さすがにこの平均価格では中流階級の我々にも23区内では手が出ないレンジと言わざるを得ない。
前出の日経新聞Web記事によると、こうした新築マンション価格の異常とも言える高騰状況により、買えない顧客層は首都圏郊外の割安な戸建てや、都心部では中古マンションにシフトしてきているとのことであった。
②アーリーリタイアと持ち家(マンション)について
以前、首都圏の不動産価格の上昇も東京オリンピックまでだ!と多くのアナリストや一般人までもが予想していたが、実際にその後も予想外に?マンション価格は高騰を続けている。
あくまで個人的な見解ではあるが、アーリーリタイアを目指すような方にとって、資産性の観点だけで持ち家と賃貸を比較する場合、都心部の人気エリアなどでない限りは、価格がある意味上がりきっているとも言えるこの現時点での首都圏郊外の新築マンション購入は、どうしてもリスクが大きいと感じてしまう。
ここで誤解なきように申し上げるが、こちらはあくまで資産性、経済的価値という尺度でのみの個人的な見解である。私自身も、持ち家を持つことが人生の幸せに繋がったり、働く原動力になったりという、資産性や経済的価値以外の価値があることも理解しており、持ち家そのものを否定的にとらえているわけではない。
この資産性、経済的価値での評価例として、例えば今このタイミングで首都圏郊外に5,500万円の新築マンションを購入する場合を想定してみたい。この世帯には既に子供もおり、マンションもある程度の広さが必要となるが、昨今の新築マンションの価格高騰により、予算的に都心部から遠く離れた郊外を選択することになる。
(首都圏郊外は地方部の田舎とは違い、郊外型店舗なども豊富で生活の利便性は高く、車があればかなり快適な暮らしになる。通勤の不便さはあれど、地域を選べば緑も多く環境も良い、ある意味満足度の高い暮らしを実現できるという利点もあるのであるが、ここでは資産性、経済的価値での話のため掘り下げない。)
マンションの場合、管理費と修繕積立費が発生する。特に修繕費は最初軽めに設定されているが、年々上がっていき徐々に生活費を圧迫するケースが一般的とも言える。この修繕費はマンションの修繕のための費用であり、都心や郊外で大きな差が生まれるものではない。
そして人口減少が進んだ将来、自身が他界し、その親族がマンションを再販しようと思い立った場合にも、大幅に値下げしても買い手がつかず、結果空き家に固定資産税を払い続けなければならないというリスクも否定できない。
一方で、一生をそのマンションで暮らす場合、マンション価格を生活する期間で割り、ローン金利、固定資産税と管理費に修繕積立費を足したものが、賃貸コストより優位となることもあるはずと考えるのであるが、価格高騰が進んでいる今の新築マンションの価格では賃貸に比べて割高に出てしまうケースが多かろう。
新築マンションの年度別平均販売価格データで比較した場合、同じ立地でも安価であった10年前に購入していれば4,000万円以下で購入できていたというケースも珍しくないかと思う。つまりこの10年で1,500万円以上も(設備面等で若干の技術革新はあるにせよ)同じ居住スペースというモノに対して余計に代金を支払わなくてはならなくなったとも言える。
前述の販売戸数の減少からも見てとれるように、今後も不動産価値が落ちにくいとされる超都心部を除き、首都圏でも特に郊外の場合は将来的に再び価格下落局面が来ると考えるのが大多数であろう。
もしアーリーリタイアを企画されている方の中で、今まさに新築マンションの購入を考えている方がいるのであれば、将来的にそのマンションがどういう資産、あるいは負債となるのかという点についても考慮していくことをお薦めしたい。その資産性、経済的価値の評価に自身の持ち家に対する価値観を掛け合わせ、それでも今購入意志が勝る場合は絶対に買いであるといえよう。
最後に、アーリーリタイアを目指しているとしても、人生すべてが経済的価値による判断ではないということを再度申し添えたい。人生を豊かにするためのより良い選択を願う。
hereticsalaryman.hatenablog.com
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本日もありがとうございました。